phosphorus=燐?

リーバーマン外相当確、のニュースで、久しぶりにパレスチナイスラエルがらみのニュースを眺めていたんですが、その途中で英語の解釈で盛り上がっているのを見つけました。

http://obiekt.seesaa.net/article/115344720.html
http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20090310/1236696915

元の話は照明弾についての英語記事の記述が正しいかどうか、という議論だったようなのですが、その過程で"phosphorus canister"という単語の解釈が問題になったようです。私はテクニカルな軍事の話には余り興味がありませんので、議論の流れ自体はここでは追いかけませんが、その中で「phosphorusは化学物質の燐という意味だけとは限らない、発光する物質という意味もある」という話に少し引っかかりました。ええ、思いっきりphosphorusといえば燐、と覚えてましたので。それ以外の用法で使われているのを見たことがありません。


で、電車に乗りながら暇つぶしに電子辞書を引いていたのですが、Oxford Dictionary of English(ODE)でも、Cobuildでも元素番号15番の燐という意味しか載っていません(ODEはLearners dictionaryではなく、フルセットの方です)。それでジーニアス英和大辞典とリーダーズを引いたところ、確かに燐光体という意味が載っています(ただし、まれにしか使われないとのこと)。しかし、燐光体といわれても何の事やら分かりません。


で、ウェブを当たったら、上のブログでも参照されているように、この「燐光体」というのは、どうやら "phosphorescent substance"の訳であるらしいことが分かります。で、このphosphorescentはどういう意味なのよと思って更に英和辞典を引くと、燐光を発する、燐光性の、と。やっぱり意味が分かりません。


ODEをひくと、物理学の専門用語であると同時に、"light emitted by a substance without combustion or perceptible heat"とあります。・・・こんなとらえどころのない定義をされても困ります。こういうときはdescriptiveなCobuildが便利です。こちらは、"A phosphorescent object or colour glows in the dark with a soft light, but gives out little or no heat"とあります。つまり、「phosphorescentな物体(または色)は、闇の中で柔らかい光を発するが、殆どまたは全く発熱しない。」ということです。


どうもニュアンス的には「人魂の燐光」と同じような用法であるように思います。燐の発光現象から派生した意味なのでしょうね。ただ、"phosphorus canister"をこちらの意味で使うと、なんだか「ぼやーっと光る人魂を缶につめて蓋をしました」みたいな、ちょっとよく分からない意味になってしまう気がしますが(または、缶自体が柔らかく光る物質で出来ているとか。どちらにしても、専門用語としての独特の定義がある場合を別にして、ちょっと無理のある解釈のように思えます)。


ちなみに、googlephosphorus canisterを引くと、8割以上はwhite phosphorus canisterという記述の一部でした。数少ない例外の一つがこれで、"A canister reportedly containing phosphorus"と定義されているので、これも「燐が入っている筒」という意味でしょうね。Wordbankの例文でも燐光体の意味で使われている文章はありませんでしたし、やはりまれにしか使われない用法のようです。


と、ここまで書いてから、ネイティブスピーカーに聞くのが手っ取り早いことに気がつきました。今度機会があれば聞いてみます。